クラッキング音を、デジタル録音する。
そのデータを、時間軸解析(オシログラフ解析)、周波数軸解析(FFT解析)する。
クラッキング音の最初の波が、+・-のどちらから発生しているのか
+側(負圧) n=16 -側(正圧) n=0
立ち上がりから最大値までの時間
平均 0.92mS 標準偏差 0.4mS
最初の立ち上がりから雑音になるまでの時間
平均 6.2mS 標準偏差 2.2mS
波高値が、50%に減少するまでの時間
平均 2.7mS 標準偏差 1.0mS
パワーレベルが全体的に減衰し始める周波数
平均 5.2KHz 標準偏差 0.9KHz (図14)
全て正(負圧)から発生している事から、発音の初期は、凹から始まっている。
キャビテーションの崩壊と関節の伸長により皮膚面が最初に凹み振動していると考えられる。
立ち上がり時間は、0.92mSであり動的キャビテーションの崩壊時間(数μS~数100μS)・静的キャビテーションの最大値(数mS~数100mS)から、
このキャビテーションは、動的キャビテーションと静的キャビテーションの中間に位すると考えられる。
音響時間は、6.2mSで、短母指外転筋・屈筋を巧打(指鳴らし)した時の音響時間 5.3mSに近い。
筋肉や靱帯が皮膚面を介して音として放出していると考えられる。
半値時間は、3mSで、音響時間のほぼ1/2であり、3dbの減衰振動特性である。
さらにキャビテーションの多数が次々と崩壊するのでは無く、単発の崩壊による振動である。
単音ではなく次数共振を伴なった複合音である。
2次共振と3次共振まで、ほぼ計算通りの周波数であり、高域にもエネルギーを持った速い力が加わっている。
4次以上の共振はローパス特性(極周波数の存在と低レベルのため正確に測定されていない。)と減衰により見られない。
この速い力の発生にキャビテーションは、適しておりキャビテーションの崩壊によるエネルギーが音に変換されたと考えられる。
1次共振から2次共振は、-8.4db、
2次共振から3次共振は、-7.8dbと次数毎に 8db5KHzの減衰が見られる。
発声で見られるような -20dbの高周波成分の減少と照らし合わせると -8.4dbに対して-6db、-7.8dbに対して-2.6dbとなるが、
ばらつき範囲を考えると妥当な減衰値であり関節構造物全体で次数振動していると考えられる。
5KHzz付近に減衰極が見られる。
筋肉や靱帯などの減衰特性と考えられる。